『ゾーン』の誤読・限界・実務との差 V
前回のおさらい
この本は、心理が実行だけでなく選択にも、さらには発見にまで及ぶと述べていた。ただしそれは「あるかないか」ではなく段階的なもので、パターン識別の習得は誰にでも開かれている一方、恐怖に妨げられない知覚と新しいエッジの発見は、心理への依存が強い。
そして前回の最後に、一つの疑問を残した。心理が選択と発見を左右するなら、手法を先に学ぶという順序は、本当に最適なのか。
今回はここを扱う。
この本は、誰に向けて書かれたか
ダグラスは、想定読者をはっきり書いている。
"I assume that most of the people reading this book are already well schooled in technical analysis."
この本を読む人の大半は、すでにテクニカル分析をよく学んでいると仮定する。
つまりこの本が念頭に置いているのは、先に手法を学び、それを使ってきて、それでもうまくいかず、行き詰まった人である。
これは現実に即した想定だ。ほとんどのトレーダーは、この道をたどる。まずチャートの読み方を覚え、インジケーターを試し、手法を探し、そして「知識は増えたのに結果が出ない」という壁にぶつかる。その段階で、はじめて心理の本を手に取る。
『ゾーン』は、その人たちを救うために書かれている。
ところが、中身は逆を指している
しかしこの本を通読すると、奇妙なことに気づく。