Day7|5連敗で壊れる思考じゃ一生勝てない
「その“流れ”、本当に意味あると思ってる?」
「最近負けすぎている」「なぜか調子がいい、勝ち続けてる」──こうした“流れ”を感じるとき、人は無意識のうちに確率ではなく「偏り」を特別な意味として捉えてしまう。
だが、確率的に考えるなら、連敗も連勝も“偏り”ではなく“分布の一部”だ。今回のテーマは、「偏りではなく分布で捉える」視点について。
連敗・連勝は「起こるもの」であり、「意味を持たない」
10回中3回勝てる手法を使っていれば、7回負けるのは当然だ。でも、これが「7連敗」として現れると、人は「異常だ」と感じてしまう。
逆に、勝率8割の手法ですら「6連敗」や「7連敗」のような偏りが一時的に現れることがある。勝率6割なら「3連敗」や「5連勝」はごく普通に起こる範囲だ。
勝率という数字だけを見ると安定して勝てるように感じるかもしれないが、その中には常にばらつきや偏りが含まれているという前提を忘れてはいけない。
偏りに“意味”をつけようとする瞬間、トレードは感情に引きずられはじめる。
感情で“山と谷”を見てしまうと、行動が乱れる
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負けが続いたからといって、手法を疑う
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勝ちが続いたからといって、ロットを上げてしまう
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想定していた優位性の分布から外れたように感じて、判断が崩れる
こうした行動の背景にあるのは、「短期の変動に意味を見出そうとする癖」だ。
でも、確率分布という視点を持てば、「いまは分布の中の下限ゾーンにいるだけ」「たまたま中央値より上に偏っているだけ」と冷静に捉えることができる。
分布とは何か?
「分布」とは、ある現象(この場合は勝ち負けの結果)が、どのような並びや偏りで起こりうるかを示す考え方。
たとえば、勝率50%の手法でも、「勝ち・負け・勝ち・勝ち・負け…」のように、結果が均等に交互に出るとは限らない。
実際には、
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3連敗のあとに4連勝したり、
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勝ちと負けが交互に続いたり、
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5連勝・5連敗のように極端な偏りが一時的に現れたりする。
これらは“異常”ではなく、すべて確率のばらつきの中に含まれる自然な現象。
このように、「勝ち負けがどう並ぶか」という全体の傾向や広がりを理解するのが“分布”であり、この視点を持てるかどうかで、トレーダーの安定感はまるで変わってくる。
数字に騙されるな。“並び”を読め
例えば、「勝率60%の手法が5連敗した」とする。 それは確率的には十分起こりうる範囲だ。
重要なのは、
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「60%だから勝てるはずだ」と考えることではなく、
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「60%であっても、こういう並びは確率的に当然起こる」と知っていること
これが、確率を“数字”ではなく“分布”として捉えるということ。そして、この視点を持っていないと、思考も感情も1回ごとの勝敗に揺さぶられ続ける。
ここまでは、「分布とは何か?」という視点を整理してきた。
ここから先は、連敗・連勝に“どう対応するか”、実践に落とし込む判断基準の話に入っていく。
不安でルールを崩すのではなく、確率のブレに対しても“構造を軸に判断を守る”ための土台を、ここで解説する。