損切りの判断力を奪う“目に見えない敵”とは
上手く稼げている人のトレードがそのまま参考にならない理由のひとつは、「勝ち方」ではなく「負け方」にこそトレードの本質が表れるからだ。
勝ち組トレーダーのトレードは、しばしばポンポンと勝っているように見える。見る側の多く、特に負けが続いているトレーダーほど、その裏にある損失の処理やメンタル管理の側面には目を向けず、ただ勝っている結果だけを追いかけてしまう。そして発信者側も、多くの場合“負け”についてはあまり触れない。とくにフォロワーを集めることが目的になっている場合は、意図的にマイナスの側面を隠し、印象の良い場面だけを切り取って見せていることが多い。
このような情報の偏りによって、見る側も自然と「勝ち方」ばかりに注目するようになり、本質的に学ぶべき「負け方」や「心理面」には意識が向かなくなる。心理面とは、たとえば負けを受け入れる姿勢、冷静さの保ち方、感情との向き合い方といった部分だ。これらは目に見えないが、トレーダーの意思決定に大きく影響する。
だが、本当に技術があるトレーダーには、負けた時にどう動いたか、どんな判断をしたか、そこで何を見ていたのかといった“見えにくい部分”にこそ真の技術が詰まっている。加えて、負けをどう記録し、どのように内省して、次のトレードに反映させているかといった継続的な思考プロセスこそ、成長に直結する学びの源になる。
なぜ人は、いざという時に損切りができなくなるのか?それは、感情や意志の問題ではなく、もっと根深い“脳の状態”にある。経済的ストレスが判断力を奪う“見えない敵”の正体と、それにどう備えるか──ここから先はサポートメンバー限定で、科学と実践の両面から解説します。