自由になりたくて、始めた。なのに、なぜルールが必要なのか。
第1話は第一章の内容と私の考えを絡めた内容だった。今日は第二章をやっていく。手元に書籍がある人は先に読んできてほしい。
第二章は、はじめて読んだ人はたぶん何言っているのかフワッとしかわからないと思う。というか2〜3回読んでも、なるほどわからん、という感じだと思う。なんでルールが必要なのかという理由を、いい意味でものすごく遠回りして説明している章だ。詳しいんだけど、わかりにくい。突然「フォース」だとか言われても、という感じだ。
わかりやすくするために色々端折るが、まず大前提から。
1|トレードは、本当に「無限の自由」だ
トレードって完全に自由だし、無限の選択肢があるもの。どの市場で何をトレードするのか、インジは何を使うか、時間帯は、といった組み合わせは事実上無限にある。有名なものだけでも、なんちゃら理論、ほにゃらら波動やら、こんなに誰が考えたんだというくらいいろんなものがあって、さらにそれを組み合わせたら何億通りあるんだというくらい。
ダグラス氏が会議で紹介した試算では、債券関連の商品だけで80億通り以上の組み合わせがあるという。(P53)
その制限のない無限の選択肢のある環境に置かれると、人はうまくいかない。これがトレードに難しさを生む。
2|自由な環境では、人はポンコツになる
心理学的にも、人は選択肢が多い状況での決断がものすごく苦手というのが常識になっている。これはゾーンには書いていないが、有名なジャム実験がわかりやすいと思う。
1995年にコロンビア大学の心理学者によって行われた実験で、参加者をジャムが6種類と24種類の2つのグループに分けて、どれを買うか選んでもらい、実際の購入率を比較した。
結果は、6種類のグループでは67%が購入。24種類のグループでは3%しか購入しなかった。
選択肢が多いほど人は意思決定が難しくなり、最終的に何も選べなくなる。これは「選択の過剰」と呼ばれる現象だ。これと似たもので、分析麻痺という「意思決定に時間がかかりすぎる」状態に陥るというのもある。
要するに、人は選択肢が多くなればなるほどポンコツになる。トレードなんて無限の組み合わせがあるから、多くの人が最もポンコツになれるものだということだ。
だから、無限の可能性のあるトレードをそのままやっても無理だから、ルールや規律を作れと言われている。ところが、そのルールを作ることにも、人は心理的に抵抗する。
3|「ルールを作れ」に、なぜ体が拒否反応を示すのか
「ルールが必要なのはわかった。じゃあ作るか」とはならないのが人間だ。このルールを決めるということにも人は抵抗感を示す。これがゾーン第二章「問題 — 規則を考えたくない」のところだ。
社会の中で生きてきた過程で、いろいろな規則によって縛られ、人はその度に嫌悪感を抱いてきた。親や先生はもちろん、環境そのものからも強い制限があり、自己表現を否定され、その度に心の奥底では自由を渇望してきた。ダグラス氏はその積み重ねを「否定された衝撃」と呼んでいる。(P62)
書籍内では難しい言い回しをしているが、結局みんな「自由が大好き」ということだ。そう、自由が一番。
これは「自由がいいよね」と口で言っているようなレベルのものではなく、自分が意識して考えるまでもなく本能的に自由が良いと心の奥底で思っているレベルの話だ。価値観とか信念と呼ばれるレベルのもの。
そこに「ルールを作れ」と言われても、すんなり従えるわけがない。
4|自由を求めてきた場所で、自分に制限を課す矛盾
ここが第2章で最もするどい指摘だと私は思っている。
トレード自体には他人が干渉しないし、無限の選択肢のある完全に自由な場所だ。そんな、自分一人しかいない自由な場所で、自分自身のためだけに、いきなりルールを作る気になるだろうか。
トレードを始めた理由だって、「経済的自由を求めて」という人が多いと思う。そんなふうに「自由」を求めて積極的に行動して相場の世界に入ってきた人が、自分一人の自由な世界を「規律ある社会」に塗り替えるか、という話だ。
やっていることが矛盾している。
そしてこれがただの矛盾で終わらないのが厄介なところだ。周りから「ルールを作れ」と言われて、頭ではわかっているから一応作ったとする。でも心の奥底では自由を渇望しているから、そのルールを守ることに本能レベルで抵抗し続ける。だから守れない。「ルールを作っても守れない」という問題の原因の1つは、意志の弱さではなく、この構造的な矛盾にある。
でもトレードで勝つためには、やはり規律ある世界にしなければならない。人は完全に自由な世界では生きられない。
5|相場に怒りを感じたことはないか
ここからは、第2章の「問題 — 責任感の欠如」の話に入る。(P67)
よく「トレードの結果に責任を持て」と聞くが、「じゃあこの責任って何よ?」と聞かれても、意味が謎な人が多いと思う。
まず、今から話す内容で一番大事なことを言う。相場に対して怒りや不安を感じている時点で、そのトレーダーの考え方は根本的に間違っている。もしそうなら、トレーダー的思考法ができていないということだ。
エントリーした直後に価格が逆行して、腹が立ってマウスを投げたくなったことはないだろうか。口座のお金をごっそり持っていかれて「金返せ」とか「取り戻してやる」と本気で思ったことは?
そうなっているなら、相場に対して責任を押し付けているということだ。
忘れてはいけないのが、チャートは価格を表しているだけのものだということ。チャート側には、トレーダーを稼がせてあげなければならないとか、上がってくれ、下がってくれという要望に応える義務は一切ない。天気予報の気温グラフみたいなものだと思えばいい。暑いとか寒いとかは感じるけれど、暑いからといって気温グラフが攻撃してきたとは思わない。それと同じだ。
チャートはただの連続したデータでしかない。そこに怒りの感情をぶつけて「金返せ」とやっているのは、考え方が間違っているということはなんとなくわかると思う。
ここが心の奥底から納得できれば、トレードから怒りの感情は、我慢することもなく綺麗さっぱり消え去る。
この「責任」の話は第3章のテーマだから、次の記事で掘り下げる。ここが理解できると、トレーダー的思考法の輪郭がかなりくっきりしてくるはずだ。
第2章までで「なぜトレーダーは思うように動けないのか」という構造が見えてきた。第3章からはいよいよ、その構造をどう変えるかという話に入る。トレーダー的思考法の核心だ。
手法をいくら磨いても、この部分が変わらない限り何も変わらない。穴の空いたバケツに水を注ぎ続けているのと同じだから。
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