恐怖を我慢するな。そもそも感じない頭の使い方がある。
1|これまでの総まとめ
今回から第8章に入っていくんだけど、8章はちょっと短めで、今までの話の総まとめみたいな感じだ。
第七章で挙げた根本的真実をどのように機能的レベルで心の環境に適切に取り入れるか考えてみたい。(P215-1)
しかしその前に、これまで提示してきた主要な概念を振り返り、より明確でより実践的な枠組みにまとめようと思う。(P215-3)
ダグラス氏も、振り返りと実践的な枠組みにまとめると書いてるから、ちょっと読み飛ばしたくなるけど、大事なことだから読み飛ばしはNG。特に、第七章の「根本的真実」は超重要。ここをしっかりやることで、第八章〜第十章の内容が生きてくる。
P216辺りでは、優位性とは「他方よりも一方に向かう可能性が高い」ということを言ってるんだけど、これはもう当たり前に感じられると思う。あとは、恐怖や期待の話、マーケットはマイナスの帯びた精神状態を経験する原因ではないというようなこと。
P217-12からは、今まで学んだ用語の連発。信念、連想、苦痛回避のメカニズム、フォースとして作用する、期待、投影という言葉が並ぶ。これらの用語が理解できていないなら、この先の章を読んでも正しく理解できないから、先に過去の記事を読み直してくることをオススメする。
2|「知っている」という先入観
P218にある、「知っている」という表現は以前にも出てきたけど、何となく違和感のある人が多いのではないだろうか。書籍だけではわかりにくいから、ここでの「知っている」の意味について解説しておく。
初心者のうちは、知らないから困ってる、知らないけど「当たれ!えいっ!」てエントリーするってことは誰にでも経験はあるはず。これは次にあった犬がどんな犬かわからない状態だけど、心では『脅威』だと「知っている」状態にある。要するに、脅威だと思い込んでしまっている状態であるということ。過去の経験からくる次の瞬間への思い込み、先入観という感じと言えば良いだろうか。
「知っている」というのは「確実な情報を持っている」という意味だと思ってしまいがちだけど、ここでの意味は、「過去の経験からなんとなくそうなると決めつけている」という状態のことだ。本人は「知っている」つもりでも、実際には「思い込んでいる」だけ。でも本人にとってはその思い込みが真実として機能しているから厄介というわけ。
これがマーケットに対しても、1匹目の犬で体験した脅威が、2匹目を脅威と感じさせるのと同じように、「知っている」という先入観でマーケットを見てしまう。
「自分は知っている」という考え方が、マーケットがどうなるのかにまで拡大し始めたら、問題が生じる。(P220-4)
これは、当たる方向がわかる感覚ではなく、いつも自分とは逆にいくんだとか、前はこうなったという期待、前は損切りになったから今回もなるかもしれないという恐怖も含まれているのだと解釈していい。1匹目の犬から受けた印象を2匹目で引きずっている状態と同じだ。
3|用語を定義する
P220の「用語を定義する」は超重要。今までも私が用語の解説をしてきたのを見てきたなら、どれだけ用語が重要なのか理解できるはず。ここは絶対に飛ばしてはいけないところ。
目的は何か?
最終的な目的はもちろんお金を稼ぐことだ。でも、1回勝つだけなら技術なんて全く必要ない。適当にポジってればどれかは当たる。
問題は「一貫して」勝ち続けることだ。ここに技術が必要になる。ダグラス氏はここで大事なことを言っている。お金は技術習得の結果としてついてくる副産物だということ。この順番が逆になっている人がほとんどだから、うまくいかない。
技術とは何か?
ここでの「技術」とは、手法とかインジの使い方とかそういう話じゃない。一貫性を持つための精神状態を作る技術のことだ。ダグラス氏が言う「技術習得」は「一貫性の習得」とほぼ同じと言っていいと思う。注意深く、客観的で、気楽な精神状態。その状態でマーケットが提供するものをそのまま認識して行動できる。これが技術。
気楽な精神状態とは何か?
リスクを完璧に受け入れた動じない心。自信からくる気楽さ。
客観性とは何か?
苦痛回避のメカニズムが働いていない状態。
心の準備をするとはどのような意味か?
証明するもの・何とかして勝とう・負けを免れよう・お金を取り戻そう・マーケットに復讐しようなど、これらが一切ない状態でのトレード。これが、心の準備ができているということ。
よくある、「マーケットに自分の都合を押し付けない」みたいなアドバイスもここに繋がる。初心者は特によくやってしまいがちだけど、お金を取り戻してやろう、金返せなんて考えるのもダメ。
「今この瞬間」とは何か?
過去の体験から連想する可能性がない唯一性。連敗したからとか、連勝したからって、次のトレードがブレてはいけない。
4|5つの根本的真実がスキルにどのように関連するか
第七章、P207に出てきたトレードに適した確率的心構えの5つの根本的真実が、第八章のP223から改めて解説されている。
まず、5つの根本的真実というのがこれ。
何事も起こり得る
利益を出すためには次に何が起こるか知る必要はない
優位性を明確にする一定の可変要素には、勝ち負けがランダムに分布する
優位性があるとは、あることが起きる可能性がもう一つの可能性よりも比較的高いことを示しているにすぎない
マーケットのどの瞬間も唯一のものである
P223の「根本的真実と技術を関連づける方法」というタイトルだけ見ると、「じゃあ技術と関連づけていけばいいのか?」という技術的な解説のような気がするけど、内容を見てみるとなんか違う。
ということで、原著を見てみると、この部分のタイトルは以下の通り。
HOW THE FUNDAMENTAL TRUTHS RELATE TO THE SKILLS
直訳すると「基本的な真実がスキルにどのように関係するか」になるから、和訳版のタイトルが「根本的真実と技術を関連づける方法」となっているのは、原文の意図を少し誤解しているかもしれない。より適切なタイトルとしては、「根本的真実がスキルにどのように関連するか」や「根本的真実とスキルの関係」といったものが良いかも?
ここまで読んで、「5つの真実があるんだな」というところまでは押さえたはずだ。でも、この5つはリストとして読むだけでは意味がない。
一つひとつが、トレーダーの恐怖や苦痛を消す具体的なメカニズムを持っている。「何事も起こり得る」と本当に信じていれば何が起きるのか。「次に何が起こるか知る必要はない」が腑に落ちると、トレード中の判断はどう変わるのか。「勝ち負けはランダムに分布する」を理解することで、なぜ負けが怖くなくなるのか。
この先で、その一つひとつを掘り下げていく。
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