「自分は正しい」と思っている時点で、すでに間違っている

書籍「ゾーン」から学ぶトレーダー的思考法 第9話|第9章
Red John 2026.05.19
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1|第11章の演習より先にやるべきこと

「5つの根本的真実」

1.何事も起こり得る。
2.利益を出すためには次に何が起こるか知る必要はない。
3.優位性を明確にする一定の可変要素には、勝ち負けがランダムに分布する。
4.優位性があるとは、あることが起きる可能性がもう一つの可能性よりも比較的高いことを示しているにすぎない。
5.マーケットのどの瞬間も唯一のものである。

これらを、すでに自分の中にある信念と矛盾せずに取り込むことを課題とした章。ゾーンを一度でも通して読んだことがある人なら、「先に11章の売買演習をやってしまおうとか」、「11章だけでいいじゃん」なんて思った人も多いはず。でも、

本章と次章で提示された概念を理解せずに実践しても、望ましい結果は得られないであろう。P234-7

ダグラス氏がこのように言っているように、第9章、第10章を理解せずにやったところで意味はないから、しっかりと理解してから第11章へと進もう。

P234-11に出てくる「投資顧問のボブ」というのは、P189に出てきた話だから、もし覚えてないなら読み返しておこう。この、投資顧問のボブは、「確率ってこうだよね」って理屈は理解しつつも、実践レベルで「確率」を理解していなかった。「知っている」と「実践できる」の壁はものすごく厚いが、トレーダーとしてやっていくなら、ちゃんとここを乗り越えなければならない。

P235では、私も何度も言い続けてきた、「繰り返せば繰り返すほど負け癖が強化されていく」って話とリンクする。当て屋思考で「次に何が起こるか?」を当てるために何年もやっていた勉強で強化された信念を覆すのはものすごく大変。だから、初心者のうちから正しい考え方を学んでおく必要がある。

もうこれに関しては、今うまくいってない人、これから頑張ろうとしている人は1秒でも早く私のメンバーシップで思考や心理の勉強をしたほうが、無駄な損失も減らせるし、何より短い人生の残された時間を効率よく使えると思う。この考え方の重要さに気づかないからみんな、なんか凄そうなインジやEAに飛びついて、自己改革に目を向けないんだけどね。

そんな遠回りをするその段階からすでに自己責任だから、遠回りする道を選ぶ人を批判するつもりもない。頑張ってほしい。

ここで話に出ている第11章の売買演習は、ここまでの全ての話を理解した上でやれば、簡単な近道というわけではないけど、かなり時間短縮で潜在的矛盾を解消できる。よくみんなやりがちな、おかしな遠回りしているよりも、ここに集中したほうが圧倒的に早い。(もう11章にいこうとしてる人がいるかもしれないが、我慢我慢!)

2|信念はどうやってできるのか

信念を理解するには「信念ってどうやってできるの?」ってことを理解しておかなければならない。まず、「信念」というのはそもそもなんだろうかってところからだけど、簡単に言うと「私たちが世界について持っている考え方や感じ方のこと」である。たとえば、「勉強すれば成功する」とか「友達は大切」というのも信念。特に難しく考える必要はなくて、考え方の土台、思考の根っこの部分という認識があればOK。重要なのは、トレーダーとして成功するために、この「信念」がどのようにして作られ、私たちにどんな影響を与えるのかってこと。

記憶、区別、そして信念という三つの心の要素

ダグラス氏はP236で、信念の起源を理解するために、まず「記憶・区別・信念」という三つの心の要素を分解して考えることを提案している。この三つは、私たちの心の中でそれぞれ別の働きをしているんだけど、絡み合いながら信念を作り上げていく。

  • 記憶:私たちが経験したことや覚えたこと。例えば、楽しい思い出や嫌な体験など。

  • 区別:物事の違いを理解する力。たとえば、好きな食べ物とそうでない食べ物を区別すること。

  • 信念:記憶や区別をもとに、私たちが作り上げた考え方や感じ方が信念になる。「こういうものだ」と信じていること。

記憶が信念に変わるプロセス

じゃあ、この三つがどうやって組み合わさって信念になるのか。ゾーンでは、それを説明するために赤ちゃんの心を例に使っている。生まれたばかりの赤ちゃんには、まだ信念も区別もない。あるのは純粋な感覚の記憶だけ。そこからどうやって信念が生まれてくるのか、順番に見ていこう。

①生まれたばかりの赤ちゃんは、いろんなものを見たり、聞いたり、触れたりして「記憶」を作るけど、まだそれに名前や意味がついていない。たとえば、赤ちゃんは親から愛情を受けると、それが「愛情」という名前や言葉と結びつく前に、ただ「心地よい」感覚があるだけ。

②成長するにつれて、その記憶に名前や意味がついてくる。

③そして、その経験から「親に愛されている」という信念ができてくる。

信念が持つ構造的エネルギーとは?

信念ができると、それはただの考えではなく、私たちの行動や感じ方に影響を与える強い力を持つようになる。この力が「構造的エネルギー」というもの。とは言っても、わかりにくいと思うから、「親に愛されている」という信念が構造的エネルギーを持つとどうなるか例を挙げておく。

自信が持てるようになる
親に愛されていると信じている子どもは、心の中で「自分は大切にされている」という強い気持ちを持つことができる。これは、その子が新しいことに挑戦するときに自信を持てる理由になる。学校で新しい友達を作るときや、難しい課題に挑戦するとき、「親がいつも自分を支えてくれるから大丈夫」という安心感を持っている。これが自信となり、積極的に行動する力になる。

人との関係が良くなる
「親に愛されている」という信念は、他の人との関係にも良い影響を与える。愛されることの価値を知っているから、他の人にも優しく接することができるようになる。クラスメートが困っているときに、その子は「自分が親から受けたように、優しく手助けしたい」と思って行動する。これによって、友達との関係が深まり、信頼される存在になることが多い。

ストレスに強くなる
「親に愛されている」という信念が構造的エネルギーとして強く働くと、ストレスや困難な状況にも強くなれる。この信念が心の支えとなって、困難に直面したときも前向きに考えることができる。テストで失敗したり、スポーツで負けたりしたときも、「親は自分を無条件に愛してくれている」という信念があると、落ち込む時間が短く、すぐに次の挑戦に向けて気持ちを切り替えることができる。

このように、「親に愛されている」という信念が構造的エネルギーとして働くと、その人の行動や考え方にポジティブな影響を与えて、人生をより良い方向に導いてくれる。

構造的エネルギーを失うとどうなるか?

信念はそのまま持っていても、それが「構造的エネルギー」を失うと、その信念が行動や考え方にあまり影響を与えなくなる。

信念があっても行動しない
「勉強すれば成功する」と信じていても、その信念が力を失っていると、実際に勉強しようとする意欲がわかなくなる。

信念があるのに感情が動かない
「親は自分を愛している」と信じていても、そのことを嬉しく感じられなくなったり、自信につながらなくなったりする。つまり、信念はあってもエネルギーを失うと、行動や感情への影響力が弱まっていく。

信念について考えることが重要

例えば、「努力すれば成功する」という信念があると自然と頑張れるようになるし、逆に「どうせ失敗する」と信じていると、挑戦する前から諦めてしまうことがある。信念はそれほど重要なものなのに、それが問題の原因になっていることに気づかないことがほとんど。

私たちが日常生活の中で信念について深く考えることはほとんどない。トレードをやっていなければ、そもそも「信念」なんて言葉すら意識しなかったかもしれない。でも、人生で何かがうまくいかないと感じたとき、その原因が自分の信念にある可能性は十分にある。

信念は生まれつき持っているものじゃなくて、成長する中で経験や周囲の人から教えられて作られていくもの。しかも自分で選んだわけじゃない信念がほとんどなんだから、一度立ち止まって「自分はどんな信念を持っているか」を見直すことは、トレードだけじゃなく人生全体にとって大きな意味を持つ。

3|信念が人生をどう決めるか

異世界モノのアニメをよく見る人にはわかりやすいと思うけど、異世界で生まれていたら、今とは全く違う文化や価値観の中で育つわけで、当然持っている信念も全然違うはず。でも面白いのは、その異世界の信念を、今の自分の信念と同じくらい「当たり前のこと」として信じているっていうこと。信念ってそういうもの。

要するに、私たちが何を信じているかは、生まれ育った環境や経験によって決まる。トレードも同じで、「最初に何を教えられたか」「どんな環境で学んできたか」によって、相場に対する信念はまるで変わってくる。自分がどんな信念を持っているかを理解することが、トレーダーにとって重要な理由はそこにある。

信念が人生をどう決めるか

ダグラス氏はP241で、信念が私たちの人生に影響を与える4つの働きを挙げているんだけど、少しわかりにくいのでP242のエピソードを先に紹介する。

テレビ番組のエピソード
テレビ局が「お金無料。本日限り」と書かれた看板を持った男性をミシガン通り(繁華街)に立たせて、お金を配る企画を行った。多くの人がその看板を見たけど、実際にお金をもらいに行ったのはたった1人だけ。それ以外の人たちは男性を避けたり、「お金はいらない」と言って立ち去った。なぜこうなったのか。

多くの人が「タダでお金をもらえるなんてあり得ない」という信念を持っていたから。唯一お金をもらいに行ったのはホームレスの人で、普段から他人に頼ってお金を得ることが多いぶん、「タダのお金が存在する」という信念が自然と強かった。

このエピソードを踏まえて、信念の4つの働きを見てみると腑に落ちやすい。

①信念が情報の解釈に影響する
信念があると、それに基づいて私たちは周りの情報を受け取り、解釈する。例えば、「タダのお金なんて存在しない」と信じていると、実際に「無料でお金がもらえる」と書かれた看板を見ても、その情報を信じられなくなる。

②信念が期待を生む
信念があると、その信念に合った形で未来を予想するようになる。例えば、「タダのお金なんて存在しない」という信念を持っている人は、「どうせ怪しいから、お金をもらえるわけがない」と思い込む。だから、本当にタダでお金がもらえる状況でも、そのお金をもらえるチャンスに期待せず、行動に移さない。

③信念が行動を決める
信念に基づいて、私たちの行動が決まる。例えば、無料でお金を配っている人を見ても、「怪しいから関わらないでおこう」と避ける行動を取ることになる。

④信念が結果に対する感情を決める
信念によって、その行動の結果にどう感じるかが決まる。例えば、「怪しい人を避けられてよかった」と安心感を感じたりする。

信念が行動を変える

もし「タダのお金がある」と信じている人が他にもいたら、その人もお金をもらいに行って同じように得をできたはず。でも多くの人は「タダのお金なんてない」という信念があったから、チャンスが目の前にあっても動けなかった。

面白いのはその後の話。もしお金をもらえた人が「あのとき10ドルじゃなくてもっともらえばよかった」と思ったとしたら、さっきまでの喜びが一瞬で後悔に変わる。これも信念の仕業で、「自分はもっと得られるはずだった」という信念が満足感を上書きしてしまう。

つまり信念は、行動を決めるだけじゃなく、結果に対してどう感じるかまで決めてしまう。同じ出来事でも、どんな信念を持っているかによって、喜びにも後悔にも変わるということ。

このエピソードが示しているのは、信念が情報の解釈・行動・結果への感じ方まで、あらゆるところに影響を与えているということ。信念によってチャンスを逃すこともあれば、信念があったからこそ得られるものもある。自分が何を信じているかを理解することが、これほど重要な理由がここにある。

ここまでで、信念が行動や感情を決めるとわかった。じゃあ、その信念と「真実」はどんな関係にあるのか。信念は私たちが見ている現実の一部しか捉えていない。つまり、自分の信念を「真実」だと思い込んだまま相場に向かっているトレーダーがほとんどだということ。その状態がトレードにどう影響しているのか、続きで解説する。

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