一喜一憂するのは、この“数字の幅”を知らないから─ 点ではなく幅で勝率を読む思考法

勝率や期待値は“未来の保証”ではなく、あくまで仮説を支える推定にすぎない。数字を点ではなく幅で捉え、更新し続ける態度を持つことで、感情に振り回されず安定した判断ができるようになる。
Red John 2025.09.06
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単発と推定の誤解

トレードをしていると、どうしても「いまの1回の勝敗」に強い意味を感じてしまう。けれど確率的に見れば、単発の勝敗はサンプル数1の事象にすぎない。つまり、どれだけ重要な局面であったとしても、統計的にほとんど意味を持たず、ただのノイズに過ぎない。1回や2回で一喜一憂してしまうのは、人間の本能としては自然な反応だが、正しくは繰り返しによって得られる全体の傾向に目を向けなければならない。

勝率や期待値を「未来の保証」と誤解するのも同じだ。数字は仮説の強さを示す推定であって、次の一回を約束するものではない。たとえば「勝率80%」とは「条件を繰り返したときにおおよそ8割に収束しやすい」という意味であり、「次は必ず勝てる」という保証ではない。ここを取り違えると、数字を“免罪符”や“お墨付き”として振りかざしてしまい、過信と自滅を招く。

数字は点ではなく幅で読む

統計が与えるのは未来の一点予測ではなく「結果が収まりやすい範囲」だ。勝率80%と聞いても、必ず80勝20敗になるわけではない。実際にはその周囲で揺れ動き、連敗やドローダウンも当然のように含まれる。これは数字の性質というより、確率という仕組みそのものだ。

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