なぜトレードルールが必要なのか?──規則性と確率的思考の核心
確率的に考えるというのは、同じ条件を繰り返し観測したときに、その結果がどう分布するかを捉えること。ここで言う「同じ条件」とは、対象・基準・観測方法が揃っている状態を指す。
天気予報を例にすればわかりやすい。「降水確率30%」という数字は、同じ気象条件(気圧・湿度・風向きなど)が繰り返された過去のデータのうち、どのくらい雨になったかを表している。もし毎回「今日は気温で判断」「明日は雲の形で判断」「明後日は勘」なんてバラバラの基準で記録していたら、その数字は確率として意味を持たない。
確率思考は「同一条件の反復」が前提。
相場の規則性
相場には規則性が存在している。ただし、空をただ見上げるように「ぼんやり眺めているだけ」では掴めない。空を見て「雲が多いな」「風が強いな」と思っても、それは規則性としては扱えない。そこで人は「気圧を測る」「湿度を計る」といった基準=ルールを敷いて、初めて“扱える形”に翻訳している。
相場もまったく同じだ。チャートをただ眺めているだけでは「上がったり下がったり」で終わる。でも、ルールを敷いた瞬間、その基準の内側で繰り返しが観測できる。つまり、規則性は「存在していない」のではなく、ルールを通さないと“扱えるレベル”にならない。
もちろん、ごく稀に、明確なルールを持っていないように見えるトレーダーもいる。しかしそれは、自覚なしに、頭の中に一貫したルールが存在しているというだけで、その人自身の信念が基準として働いているため、本質的には同じことである。
ルールの本質
普通とは違う角度から「ルールとは何か?」を考えてみよう。