勝率に騙される

勝率が高い=優れた手法、ではない。その思い込みこそが、あなたのトレードを狂わせる。
Red John 2025.06.16
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「この手法は勝率70%らしい」「AよりBのほうが勝率が高いからこっちに乗り換えよう」──こうした比較、実は思考停止の始まりだ。一見すると合理的に見えるが、これはトレーダーとしての根本的な感覚を鈍らせる。トレードは「確率的思考のゲーム」であって、「確率が既知で固定されたゲーム」ではないからだ。「より精度の高い手法」「より勝ちやすい手法」──そんな幻想を追い始めると、自分の判断構造を育てる努力をやめてしまう。人は比較を始めた瞬間、思考の主導権を外部に明け渡す。

比較とは、あくまで”外の正解”を探す営み。そして、トレードにおいて最も危ういのは「正解を探す思考」だ。本来トレードとは、不確実性のなかで自分の判断構造を洗練させていく営みであり、「勝率が高そうなものを選ぶこと」ではない。

勝率という数字の操作のしやすさ

たとえば、Aという手法の勝率が65%、Bという手法の勝率が45%だったとする。ほとんどの人はAを「優れている」と判断する。だが、それは本当に意味のある比較だろうか?

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